リカステについて



Lyc.ChitaSunset‘Sunday Smile’




リカステ栽培の楽しみ
落合 功

25年ほど前、パフィオに熱中していた私でしたが、少し変化を付けてみようと考えていた折、Lyc.Koolena‘May’の開花株を初めて目の前にして、そのすっきりとした花形と柔らか味のある色彩に見入ってしまいました。当時まだ珍しかったリカステはその栽培方法もよく解らなかったが、早速Lyc.JohnEzzyのフラスコを買い求めて美しい花の開花をみて感動しました。以来8坪の温室にパフィオとの同居で、山上げもせずに栽培を楽しんでいます。






<栽培のポイント>
パフィオともども環境作りに尽きるようで、年間を通して遮光(50%)、湿度調整、通風、高温対策(夏期)などパフィオより少し手をかけてやる必要があるようです。通常の栽培は小さ目のポリ鉢に軽石とバーク主体の礫(つぶて)か素焼き鉢に水苔で、およそパフィオと同じ要領で管理しています。植え替えは株によって成長状態が違うので、3月中旬から5月始め頃までに、花が終り新芽の出る少し前にバルブの芽の位置を確認して行うか、または、新芽が2〜3cm伸びるのを待って行うのが良いと思います。植え替え後の管理は新芽が伸び10〜15cmほどになって、刃先が展開し始め発根するまでは潅水をやや控えめにします。新芽の発根が確かめられたら、灌水を増やし1回目の肥料をやり、以後盛夏を除いて月に1度の割で施肥をします。一般に成育中は水と肥料を好むほうだと思います。

<梅雨明けから盛夏の管理>
元気な株が急激に衰退したり、早くから成長をはじめ葉が勢い良く展開している株が急に枯れ込む事があります。これに対し、新芽のスタートが遅れ葉先がようやく展開を始めたような株は以後の成長が大きく緩慢となり、酷暑に耐えているようです。9月に入って涼風が立ち始めると勢いを盛り返して、前者は別の所から新芽が伸長して復活をはかり、後者は新芽の成長が速まり11月末にはバルブの充実期を迎えます。これらには2回ほど肥料をやります。長い経験の中で、新芽のスタートが早い時期の株より遅めの株の方が総合的に好結果をもたらすことを実感していますが、その新芽の動きを調節するための方法は掴めていません。夏の一般的な管理としては、温室の窓を全開しても室温があがり通風が好ましくないので、開花株の全ては戸外栽培をします。戸外の西日をさけ緑の風が通りぬける場所を見つけて少し高めの棚を設け、午前中の直射日光にも対応できるよう50%ほどのダイオネットを張り、熱帯夜には扇風機で風を通して、毎日頭から潅水をしています。なお、9月の長雨時には日光不足、徒長防止のためダイオネットを張ったり外したり心配りが必要です。フラスコから出したてのコミュニティーポットや未開花株は戸外では環境が少し厳しすぎるようなので、鉢の間隔を開け扇風機をかけて通風をはかって室内栽培をします。

<病害虫対策>
大層難しい事などで自然任せの感が強いが、カビや細菌による炭そ病や軟腐病の防除、治療のためにトップジンM+オーソサイド液とキノンドー液を適時散布し、春と秋の2回カイガラムシをジメートエートで防除します。いずれにしても、病害虫については予防と健全な株作りが基本だと思います。また、ナメクジとウマオイなどは見つけ次第捕殺します。開花直前のつぼみや花のナメクジ食害は深刻で痛恨の極みです。

<フラスコから育苗育種>
今までの経験から、10月末から5月中頃の間にフラスコを入手してコミュニティーポットに移植します。手順として、小苗と植えこみ材料はタチガレン1000倍液に浸して消毒し、3号ポットに礫か水苔で植えるが、1本いっぽんポットの縁に沿ってぐるっと1回りおよそ10本並べて植えつけます。この時、ゼリー状の培地はおよそ取り除くだけであまり神経質にならない方が根をいためないで良いと思います。ポットの中央部は根付いた後に肥料を置きます。2日程やや日を弱くした後は潅水を控え目とし、2回ほど殺菌剤を散布して1ヶ月管理します。以後は既存の株と同様の扱いですが、小苗が根を張り新たに成長を始めたらやり過ぎしないように留意して肥料をやります。梅雨が明け気温が上昇すると順調だったコミュニティーポットの成長が止まり、腐敗菌などによると思われる病気に罹りやすくなるので、通風に気を使い殺菌剤の散布をします。(前途の成株への管理と同じ薬剤)盛夏の間に弱い品種や個体は枯死し、平均的に40%〜70%が生き残り、秋から翌年の春までは問題なく順調な生育が見られます。潅水に井戸水を使うとポットの表面に苔類が発生して小苗を埋め尽くされんばかりになり、成長を妨げるので随時抜き取ります。

2年目に入ると、ひときは大きく成長してポットに程よく調和して生育環境が最適となってくるので、移植をせずにそのまま1年目と同様の管理をします。中には生育不良や枯死する苗が見られますが、これらは自然淘汰として気にしないことです。

3年目になると、ポットの苗の成長は旺盛で、移植して根やバルブの成長する余地を作ってやる事が必要となってきます。そのまま一回り大きいポットに鉢増しするか、一個体ずつ単鉢にとるかですが、私流では過去両方とも結果は悪くないようでした。単鉢への移植は将来に繋げるためにすべて礫植えにしますので、今までの植えこみ材料は水苔、礫を問わず取り除きます。どちらも今まで根を痛めないように注意すれは植痛みはあまり無いようです。その後の管理は苗が成長した分少し肥料が多めになりますが、基本的には前年と同じにして2年間栽培します。早いものは初花をつけるものもあり、期待が高まります。

本鉢への定植はフラスコを出して4〜5年目、自然または人為的淘汰して1フラスコ10本をめどに、今までの植えこみ材料より少し粗くした礫でポリポットを使います。定植は来シーズンには是非とも花を見たいので、根をいためないように植えこみ材料は汚れた部分のみを落とすだけの鉢増しの方法で、新芽の位置を十分考慮して位置を決め、今後2年間作りこめる最小限の鉢に植え込みます。鉢の大きさは、今までの経験から、隔年移植のパターンで栽培できる最小に近いものほど管理がしやすいようです。また、ふか鉢よりも普通の鉢かあればやや浅い鉢のほうが根の張りぐあいから見て都合が良さそうです。そして通常の植え替えでは古い植え込み材料はバック側を1/2〜2/3を落とすにとどめ、リード側の根をいじっていためないようにしています。期待に応えて開花した株はまず、花の向きを支柱と針金を使って平面的にならないうように留意いしながら整えてじっくり観賞します。

※植え込み材料は現在、中粒軽石4、ニュージーランド産バーク4、燻炭2、の比較的単純な混合礫を使用、肥料は市販の油粕+骨粉主体の発酵粒です。


極めて私流でしたが、リカステの栽培について述べました。長い間には山あり谷ありで、良花を満作に開花させて喜喜としたり、貴重な株や優良株を夏の酷暑や管理不充分のために枯死させて残念な思いをしたりした事が多々ありました。また、栽培とは別に交配して新しい種を夢見る幅と奥ゆきの深い楽しみもありました。交配は予想を越えた色彩や花形の出現に、一喜一憂、長い時間と愛情の結果が得られる喜びでいくつかの新種と入賞花に恵まれました。いまだSM以上には至っていませんが、私の良い系統を見分ける識見、現有の栽培施設から見れば十分だと思っています。

戻 る